浮世絵と著作権

浮世絵の著作権について、サイトを見た方などから質問されることが多いので、このブログにも書いてみました。



答を一言で言えば、著作権は消滅しているので、基本的には使用できます。

ただ、使用にあたっては注意が必要です。
 
以下、少し説明してみます。



著作権は著作者が死亡してから50年経過すると消滅します。ですから江戸時代に制作された浮世絵の著作権は明らかに消滅しています。



ただし、浮世絵をベースにして新たな作品(特にパロディ作品)をつくる場合には注意が必要です。



元の浮世絵をある程度加工することはOKですが、浮世絵の作者本人あるいは遺族の名誉を傷つけるような改変は、著作者人格権という権利の侵害になる可能性があります。



また、浮世絵をどう調達するかも問題です。自分で浮世絵のオリジナルを所有している場合は問題ありませんが、そういうケースはほとんどないでしょう。



現実的には浮世絵の所有者にオリジナルを借りるか画像を提供してくれるように頼むことになります。あるいは浮世絵の写真を撮らせてくれるようにお願いします。所有者に断られれば使うことはできません。



では美術全集などの出版物に掲載されている浮世絵の写真を使うことはできるのでしょうか? 



出版物としての美術全集には著作権がありますが、掲載されている写真自体には著作権は通常ありません(絵画などを忠実に撮影した写真には著作権が認められていないからです)。



美術全集に載っている浮世絵の写真を、スキャナーなどで取り込んで使うことはOKです。現実的にはこうして使うケースが多いでしょう。



よも編集長が書いた、著作権の本(電子書籍


表現する人の著作権